子どものいじめ問題に絡み、学校や教育委員会の対応の遅さが問題になることが各地で後を絶たない。埼玉県内のNPOによるアンケートで、小中学校や教委、それぞれの職員の3割がこの原因について「余裕のなさ」を挙げた。教育現場は「ブラック職場」と揶揄(やゆ)されるが、現場の日常業務で手いっぱいになっている実態が改めて判明した。
アンケートをしたのは川口市のNPO法人「Protect Children~えいえん乃えがお~」。昨秋、全国の150小中学校と100教委に協力を求め、団体や職員から計486の回答を得た。方法は選択式と自由記述。
対応が遅れる理由については、30%が「他業務があるため時間が取れない」を選んだ。学校側の自由記述でも、「教員が多忙で助けを求めにくく、抱え込む」「人員不足」「参考にするガイドラインの種類や量が多く、理解することが困難」「丁寧に進めている作業が遅いと受け止められる」など、教員の勤務環境に関係する回答が並んだ。
いじめの対応で「難しいと思う点」については、16%が「他業務があり、対応に時間をかけられない」を選んだ。教委や学校がすぐに「いじめ」「重大事態」と認めない理由についても、8%が「認めたら業務が増える」を選択した。
また、調査委員会を設置する際の問題点を問う設問でも、22%が「業務が増える」を選んだ。学校側の自由回答では、「話し合いや聞き取り、資料作成、支援などをするため、他業務に支障を来す。複数の事案があればさらに対応が困難」といった訴えがあった。
一方、アンケートでは、保護者に説明しても納得を得られない▽無謀な要望をされる▽一方的に責められて会話にならない――といった悩みを一定の学校や、教員らが抱えていることも判明した。
当事者の声は
教員はいじめ問題にじっくり対応する余裕があるのか――。記者は埼玉県内で奮闘する当事者に話を聴いた。
ある小学校の若手教員は午後…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル